グルメ・クッキング

天龍菜館

 最近は横浜、関内あたりに出向く用事があって、昼食時には
近くの中華街をうろつく機会が多い。そんな折はメインストリ
ートを外れた裏道や、中華街の端のほうのうらぶれた食堂を中
心に嗅覚を働かせる。だいいちメインの通りにある店はどこも
料金が高い。昼飯はワンコインが私の基準だ。
 中華街の外れ、というか中華街とは呼べないような場所に、
非常にうらびれた店を見つけた。天龍菜館と看板が出ていた。
およそ料理屋とは感じられないアルミサッシのガラス引き戸。
入り口前にはあまり奇麗ではないテーブルクロスを掛けた台。
持ち帰り弁当と肉まんが無造作に並んでいる。
Photo_3 広東専門家郷料理と書いてあって、ワンコインランチ500円
という手書きの貼紙もある。
一斉に人出のあるランチタイムだというのに店内には一人の
客の姿も無い。いいじゃないか。
 ガラス戸を引いて入ると、奥に一人ポツンと座っていた痩
せた青年が力なく立ち上がった。中国人だ。
ランチは5種類あった。麻婆豆腐丼、ワンタンスープと焼き
メシのセット、鶏肉とキクラゲ炒め、黒酢酢豚、五目ウマ煮。
酢豚を頼んでみた。
8畳程度の広さの殺風景な店に安物のテーブルが5つしかな
い。椅子もパイプ椅子で5人、4人、4人、2人、2人で17人
が入れば満席になる。そして何よりも気になるのは厨房らし
いスペースが無いことだ。
注文を受けた青年はハイと応えると小部屋のようになった所
に引っ込んだ。その奥に厨房があるようには見えないし、他
には人の気配が全く無い。するとジーという音がした。
どうも厨房用エレベーターがあって階上で調理するようだ。
間口の狭い建物は2階建てだったような気がする。狭さを補
うために、上で調理して下で出すのだろう。
 待たせられるかな、と思ったら意外と速く料理は出てきた。
量は丁度良く、卵スープに大根とニンジンの漬け物も付いて
いる。味も悪くは無い。しかし豚肉にしては堅い。少々揚げ
過ぎ。タマネギが殆ど生で辛い辛い。でも良いじゃないか。
何となく本場モノの感じがする。こんな店を探していたのだ。
でもどうして客が居ないのだ。食べ終わるまでの30分ほどの
間に、結局他に客は入って来なかった。
安普請でうらびれているだけで不潔な感じもしないし、壁の
メニューを見ると一品料理はかなりの数の品数をこなすよう
だ。これは通ってみる価値がありそうだ。
Photo_4  表に出ると隣との境に掲示板があった。広東出身のおじい
さん料理人が一人でやっている店で、やっぱり上(3階建て
の3階)で調理しているのだそうだ。なにかの雑誌で「この
レストランはすごい 2004」の横浜中華街ランキング2位と
紹介されたとのこと。
 帰宅してネットで調べてみると1年程前に多少小ぎれいに
なったそうで、今はオヤジさん本人が料理していないことが
多いとの事。以前は入るのを躊躇うほど小汚かったけど、味
は最高だったらしい。
まあ、とりあえずワンコインランチ全制覇をやってみるか。

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