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遺伝といえば

 いずれにしても良かれ悪しかれ親から子へ
と受け継がれてゆく要素は必ずあるわけで、
そんなことを考えていると、新聞に芥川賞と
直木賞の候補が発表された。見てみると、そ
のなかに嬉しい名前があった。
 アフリカに行く前、私はテレビ番組の制作
プロダクションにいた。1970年代末から80

年代初めにかけての頃だ。ディレクターとし
て最初に手掛けたのは、その頃ようやく出始
めたミニ番組。夜10時頃、番組と番組の間
に幕間のように放送される3~4分の番組だ
った。
 故・実相寺昭雄監督が企画発案と監修で始
まった「21世紀への手紙~わが子へ~」とい
う番組で、芸能人や文化人、スポーツ選手な
どが、わが子供に宛てメッセージを贈るとい
うもので、親子の日常の或る時を切り取った
映像と短いインタビュー、そして番組のため
に書き下してもらった400字ほどの手紙を朗
読する本人の声で構成し、ちょっとしたドキ
ュメンタリー的な要素も交えた番組だった。
 その一本で作家の宮内勝典さんを取り上げ
たことがある。「南風」で文藝賞を受賞して
デビューした宮内さんは、当時「金色の像」
で芥川賞を逃したものの、同作で野間文芸新
人賞を受賞したばかりの頃。高島平団地の最
上階のお宅を訪ね、近くの公園で2歳になっ
た息子さんとの散歩の様子などを撮影した。
息子の悠介くんは自分で立ち、歩くことで世
界とつながる喜びを謳歌していた。
 朴訥な青年らしさを残す宮内さんの、文学
にだけでなく世界に対面する真摯な姿勢に感
銘を受けた私は、その後も個人的に何度か連
絡させてもらった。やがて私はナイロビへ向
い、偶然にも同じ年に宮内さんはニューヨーク
へと移り住んだ。その数年後にナイロビで私が
息子を得た時、宮内さんにはちょっと感情の
籠った手紙を認めた覚えがある。その辺りは
「地球を抱きしめたい」(新潮文庫)に、アフ
リカを訪れて私と再会したときのエピソード
に描かれている。
 そしてあの息子、悠介君が今、直木賞の
候補作家となっているのだ。すでに35歳。
直木賞候補となるのは二回目だ。
あの父にしてこの子あり。しかして私は…

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