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靴磨きジョセフ 1(アフリカ回顧譚)

 ナイロビに暮らし始めた当初のこと。街と
人に慣れるため、スワヒリ語学校の授業が終
わった午後は毎日あちこち歩くことを日課に
していた。
 
街の中心を走るケニヤッタ大通りのスタン
ダード銀行前の歩道に、何人かの靴磨きが並
んで座って客待ちしている一画があった。
街中でもなければ舗装もままならず、少し歩
き回れば足元は埃まみれになる土地柄だ。い
つもスニーカー履きで靴磨きが必要な革靴な
ど履いて歩くことはなかったが、見ていると
ビニール靴でもスニーカーでもお構いなしに
客に声をかけ、土埃や汚れを拭き取り磨いて
いた。
 そんなわけで、そこを通りかかる度に私に
も声が掛る。ジーンズにTシャツ姿の若造で
ある私でも、外国人である限り小金を持って
いると目論まれ、ケニア人相手よりも料金を
吹っ掛けることができると算段したのだ。
私の方も彼らの暮らしにちょっと興味があっ

たので、或る日の午後、ちょっと厳ついけれ
ど愛嬌のある笑顔の靴磨きの前に埃にまみれ
たスニーカーを突き出してみた。
 ジョセフ・カマウ、28歳という。私よりほ
んの少し年上だが、もう30代半ばくらいには
見える。名前と言葉遣いからケニヤで一番の
口をもつキクユ族であると判った。

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