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ゴドーと田村

ようやく最近になって「田村はまだか」の文庫版が

出た。何年か前に書評を読んで以来気になっていて、

朝倉かすみの著作は何冊か読んでいた。最近着目して

いる作家のひとりで、でもまだ何故か「田村はまだか」

は読んでいなかったので、この連休に読んでみた。

Photo

小学校時代のクラス会の流れでバーに集った5人の

男女の一夜。同窓生である田村を待つうちに40歳の

それぞれの過去と現在。田村とは誰なのか、どんな存

在なのかが次第に明らかになってゆく。

 さすがに朝倉かすみ。私たちはどこから来てどこ

へ向かい、どのように生きるのか…という芸術の根本

命題への問いかけが絶妙な会話とともにスラリと流れ

てゆく。

「ゴドーを待ちながら」は不条理演劇の代表作とさ

れているサミュエル・ベケットの戯曲だが「田村…」

を読みながら、ああ、これは現代日本の「ゴドー…」

なのだなと思った。

 私は「ゴドー…」は不条理というよりも実存主義的

な作だと解釈している…まあ、実存は常に不条理では

あるし、そういう意味で2作は通底していると思う。

というか、なんだか「ゴドー…」の焼き直しじゃない

かと思えて来た。しかも「田村…」のほうは最後には

なんとも救いのある展開になっているので、ブッキッ

シュなアフォリズムに彩られた「ゴドー…」よりも

遥かに心に沁みる。

そう言えば「ゴドー…」のGODOT(このスペルで

ゴドーと長音表記になっているのはどうしてか?

と、いつも思う)はGODのモジリだと言われてい

るけど、その対比で言えば田村は仏か?

この混乱する日本で待たれているのは国民一人一

人の田村なのだろう。田村はまだか…と待ち続けて

いるうちにこの国が沈没してしまうようなことだけ

は起こって欲しくない。

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