« ラマダン 2 | トップページ | イマジンとソマリア 1 »

ゴキブリを殺す

 冷夏の終わり、風呂場にゴキブリが現れた。いつもは台所あ
たりに出るのに何故風呂場なのか? 涼しいせいか、なんだか
勢いのない動きで水を抜いた浴槽の壁を這っていた。
私は生理的にあの昆虫が苦手で、見つけたら退治してしまう。
殺虫剤をかけたり棒状にした新聞紙で叩き潰したりする。
浴槽の元気の無いゴキブリに殺虫剤を噴射した。元々活発では
ないので一発で下に落ちた。ステンレスの上に仰向けになって
もがいているところにとどめの噴射をして、まだ動いているう
ちに新聞紙で掬い取ってコンビニの袋に押し込んだ。そのまま
縛って出て来られないようにすると、ゴミ袋に押し込んだ。
 本を読んでいたら蚊が一匹、視界を過った。カーテンに止ま
っているのを見つけてそうっと近付き、両掌を思いきり叩きつ
けて潰した。掌に黒いシミとなった蚊の遺体と赤い私の血が残
って、水で洗い流した。
 ほんとうは無為な殺生はしたくない。ゴキブリや蚊としてこ
の世界に生まれただけで、何故いきなり人間に抹殺されなけれ
ばならないのだろうか?
私が殺しておいて、そんな事を考える。
ある種の病菌を持っていることがあるとして害虫とされている
が、この害虫という言い方も人間の勝手による言いがかりでし
かない。そんな言い方をすれば人間だって地球の害獣だ。
 動物であれ昆虫であれ植物であれ生物は、さらに言えば菌類
とかvirusなどでさえ、この世界に存在する意味を担って生まれ
てきたものだ。そして全ての存在は何らかのかたちで相互にリ
ンクし合っていることを考えると、たまたま私という人間の目
の前に現れたことにも何かの意味があったのだろう。
 アフリカで目にして来た弱肉強食の野生動物の世界。それは
食物連鎖のサイクルというメカニズムにとって必要不可欠なも
のだけど、人間が意味も無くいきなり他の生物を抹殺すること
にはどんな意味があるのか。そしてそれが対人間として行われ
た(行われている)としたら…
 「冬の兵士」(岩波書店刊、反戦イラク帰還兵の会著)を
読む。副題はイラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実。
公聴会で証言された数々の出来事は、私がゴキブリに対して
行った行為以上に色々な事を考えさせる。

|

« ラマダン 2 | トップページ | イマジンとソマリア 1 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/529115/46144560

この記事へのトラックバック一覧です: ゴキブリを殺す:

« ラマダン 2 | トップページ | イマジンとソマリア 1 »