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小説「東京スタンピード」から

 冒頭の印象が良かったので森 達也の小説「東京スタンピー
ド」を読んでみた。彼のルポなどが好きで殆ど読んでいる。
この小説は雑誌に連載されていたものだそうで、小説も書いて
いたとは知らなかった。期待しながら読んだのだが、主人公の
元彼女が頻繁に出てくる中頃からちょっと怪しくなっていった。
終盤になっていよいよ変調をきたしてしまっていた。劇画のよ
うな展開に辟易する。細かな事はあえてここでは述べないが、
テーマと着眼は良いのにやっぱり彼に小説は無理なようだ。
しばらくはずっとルポに徹して欲しいものだ。
ちなみに森はSTAMPEDEの意味を誤解していると思われる。
本の帯に「集団暴走=スタンピード」と書かれているが、実際
は集団が恐怖や不安に混乱して右往左往して逃げまどい大混乱
に陥った状態の事をいう。彼が描いていることは、先鋭化した
狂気が他を一方的に追いつめて攻撃するという状態のようなの
だ。
まあそれはそれとして、この小説でも他のルポなどでも、森が
一貫して探っている事は、ある部分で私がこのブログの文章を
通して探ってゆこうとしている事と共通している。
現状の日本が抱えている病巣。その根源と行方を見つめている。
そんな共感があるし、取り上げる対象が私の興味と重なる。
 既にこのブログで私は繰り返している。この日本はおかしい。
あんなに迷走・酩酊・思考停止・保身ばかり曝け出している政
治状況に何も声を上げないでいることもおかしい。それはマス
コミだけでなく一般国民や学生などの態度のことだ。前に私は
一揆ものだとも書いた。自殺者ばかりが増えている一方で、声
を上げる人が居ないという事もおかしい。
 政治家では渡辺喜美議員がスタンドプレイの造反劇を演じて
見せたが、その後の本人の言動もよく分からないし反応も伝わ
って来ない。彼の事は評価していないが、それでもあれをきっ
かけにせめて何らかの声が上がってきても良さそうな気がした
のだが、それさえも無いのだ。ある意味で、今の日本は本来の
意味でのスタンピード状態なのかもしれない。

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