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伝統と国籍 1

 21日のアメリカ新大統領オバマ氏の就任式の様子を見ながら考
えた。知っての通りオバマ氏はケニアからとドイツからの移民を
両親に持つ。ミドルネームのHUSEINはイラクの、あのフセイン
元大統領などイスラムの人名によく使われる。
彼の父親はケニア西部、ビクトリア湖周辺に暮らすルオー族で、
多くはクリスチャンとはいえイスラム教徒もまた存在する。
そんなイスラム教徒が父だった。バラクという名前もきっとイス
ラムの名前MUBARAK(エジプト大統領の名前を思い出して欲し
い)になぞらえたものであると考えられる。
長くケニアに暮らした私は彼等の命名の仕方を知っているが、所
謂given nameの次には父親の名前がミドルネームとして付けられ
る。姓のオバマは彼の祖父の名前だ。宗教を関連させる名前では
なく、Oで始まるルオー族特有の名前だ。祖父がどの宗教を信仰し
ていたかは知らない。彼の父親はイスラムからキリスト教に改宗
したようだ。
 ひとつ気になる事がある。何故彼自身やその周辺の人たちが、
彼の出自に拘るこの事実に蓋をしようとしているのかという事だ。
なぜ祖先にイスラムの人が居てはいけないのか?何故恥じるよう
な態度を取るのか?いくらアメリカや西欧諸国が中東の一部の
イスラム国家と対立しているからといえ、またイスラムとの文明
の衝突という構図が出来てしまっているとはいえ、隠したり恥じ
るものではない。堂々と胸を張って「私にはイスラムの祖先がい
る。私こそキリスト教とイスラムの融和の架け橋となる存在なの
だ」と言えないのだろうか?彼がアメリカでキリスト教徒として
生まれ育ったからなのか?
 前回はソマリアの婚礼・婚約式について書き、彼等の伝統的風
習について書いたが、その事にも関連する。私の知る多くのソマ
リア人が世界の各国へ移住していった。いまや10万人規模のソマ
リア系住人を擁するアメリカやカナダは言うに及ばず、旧宗主国
イタリアのほかイギリス、オランダ、ドイツ、スウェーデン、ベ
ルギー、オーストラリアなどなどだ。彼等は現実世界に生きてゆ
く為に国を出て、移住先の国の国籍を取得している。彼等が故国
の国籍を失うことには何の躊躇も無い。それは先の婚礼の話で触
れたように、国籍や住環境が変わろうとも彼等に刷り込まれてい
る伝統上のアイデンティティーが変わることが無いからだと、私
は思っている。(長くなるので続きは次回へ)

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