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放し飼いの精神病院へ

放し飼いの精神病院へ

 駅で電車を待ちながら13年ぶりに帰国したときのことを思い
出した。
遮断機の黒黄模様の棒を前に何人もの人が立っていた。
チンチン、チンチン、チンチン、チンチン、その音はもう何十
回続いていたのだろう。電車が右から左へ通り、左から右に
行き過ぎてもまた次の電車が来るらしく、いつまでたっても踏
切は開こうとしない。待つ人の群が3人、5人と増えてゆく。
苛立った若い男が通せんぼの棒をくぐって走り抜ける。
傲慢なおばさんが棒を押し上げて自転車を引いて渡る。
それを見ながら「なんて奴らだ」と思い、「俺もやろうかな」
と思い、「やれやれ」と思いながら、まだ多くの人たちがじっ
と待っていた。そうして電車が5つほど右左へ通り過ぎてやっ
と遮断機が上がると、人がいっせいに行き交い始める。
 それを見ていたカミさんが「柵の戸を開けてもらった山羊の
群れみたい」と言った。
 私は13年ぶりにアフリカからこの国に還って来ていた。
そして今、帰国して13年が過ぎてしまった。

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